2013年2月5日火曜日

スペース・ランナウェイ 復活のイデオン祭り

2月1日に、新宿のミラノ座で行われた「伝説巨神イデオン」TV版BDの発売記念イベント『スペース・ランナウェイ 復活のイデオン祭り』に行ってきました。
http://www.ideon.jp/event/index.html
2010年に、映画版のオールナイトをテアトル新宿でやった時はチケット即完売の超満員で床にブランケット敷いて観てる人もいたくらいですが、今回は6~7割くらいの客入り。うーん、金曜の夜と言うのがまずかったのでしょうか…?



本編以上のお楽しみ、開演前のトークショーでは氷川竜介さんを司会に、キャラクターデザイン・作画監督の湖川友謙さん、メカデザインの樋口雄一さん、そして総監督の富野由悠季さん。

最初に壇上に上がった氷川さん、開口一番に「今日はTV版です!キチ・キッチンの首は飛びません!」(会場笑)と言い放つなど、なんか変なテンションでトークショーが始まりました(笑)

続いてお三方も壇上にあがりますが、挨拶もそこそこで立ったまま富野さんの独演会がスタート。
今回のイベントに当たって「オンエア以来初めて観た」という話から入って、

「できれば観たくないと思ってたタイトルが、今回ズラーッ!と並んでてげっそり(笑)。特に、最後の3話なんて『発動編』でまとめちゃった訳だから、そんなもん観るわきゃない」

「一番見たくなかった10話の『奇襲・バジン作戦』。キャラクターはちゃんと出来てないし背景はちゃんと描いてくれてないし作画だって一番イヤなキャラクターなんて、誰だかわかんない動画がサッと描いたやつで作監のチェックも入れて無いでそれっきりでオンエアしちゃった記憶しかない訳!!(会場笑)…と言う印象で今回観たら、最後まで観ちゃったのね。なんだか狐につままれたみたいで…」
など、ご機嫌でしゃべりまくり。

「脚本家は『富野が改ざんした!』と言うけど『改ざんされるのはテメーが無能だからだろ!』というやり取りをしてああいう結末になって・・・」など、フィルムの中も外も同じようにいがみあう状況であった事が容易に想像できます(笑)

TV版に対しては否定的な発言をたびたびしてきた富野さんですが「映画で綺麗にまとめてしまうよりもTVサイズでの伝え方はこれはこれで作品としては良いものである」といった見解にいたった模様…

ここからようやく3人の対談がスタート。どう見てもアニメに向かないイデオンのデザインについて、「イデオンのデザインは玩具主導ですでに動かせる状態ではなかった」と言うのは知られている話ですが、

樋口「『タンサー5』の次の企画を出してくれと言われて小学生低学年かプリスクール向けにデザインして持っていったら…オンエア見て『これ、ターゲット全然違うじゃないか』と思いました(笑)」

富野「動かせなくて困ったからイデオンのような話が出来た。星ふたつの人間が死ぬ話になっちゃったと言うのは、それくらい腹が立ったわけ!(笑)おもちゃで売れそうなデザインが出来たからって、『それで作品を作れ』って言える大人たち。こいつらぶっ殺してやる!(会場笑)

湖川「今思えば、あのマッチ箱みたいなデザインのままやれば良かった。あれをカッコよく見せようなんて、やっぱ俺、若かったんだよ(笑)。四角いものって巨大間をすごく出しやすいのよ、アニメの場合。でもあの時はカッコよく描きたかったからね~」

樋口「後半になって、『これ話が違うな~』と思ったので、イラスト描く時は重苦しい雰囲気を出すようにしました(笑)」

などなど、富野さん自身も「今日はじめて聞きました!」というネタも出てきたりします。どこもかしこもコミュニケーション不全だこと…(笑)

氷川さんによる「今回の解説書(BD版)に、『今ならTV版を2クールで作り直してもいい』とはっきり書いてあるんですけど」という質問には、
富野「それは今回をきっかけにして、TV版を見てなかった時代の発言です(会場笑・拍手)。TV版で多少絵が汚くて作画がヘタだけど…あれは作り直す必要ない」
とバッサリ。そんな前の発言じゃないだろうに…(笑)


翌日に急遽仕事が入ってしまったので、トークショーのみで帰宅する羽目になって残念でしたが、なかなかいい話を聞けて満足。
富野さんが昔の仕事を素直に評価するようになったり、ファンに対してしきりに感謝を述べたり、目線がだいぶ優しい感じになってきたのが非常に印象的でした。

ちなみに、人気投票によって選ばれた全12本の上映リスト。
第1話「復活のイデオン」
第10話「奇襲・バジン作戦」
第13話「異星人を撃て」
第14話「撃破・ドク戦法」
第25話「逆襲のイデオン」 
第29話「閃光の剣」 
第31話「故郷は燃えて」 
第32話「運命の炎のなかで」 
第34話「流星おちる果て」
第37話「憎しみの植民星」 
第38話「宇宙の逃亡者」 
第39話「コスモスに君と」 

なんだか人が死ぬ話ばっかりで朝まで観てたら具合が悪くなりそう…
早々に帰ったのはある意味正解だったかもしれません(笑)