2015年2月3日火曜日

テレ朝エンタメ史 「視聴率15%を保証します!」

以前、アニメの門トークライブで少し紹介されていた「視聴率15%を保証します!」を読みました。
                      
著者の高橋浩さんは元テレビ朝日のテレビマンで、日曜洋画劇場の編成を務め、土曜ワイド劇場を立ち上げ、その後アニメ部門に移ってドラえもん、セーラームーン、クレヨンしんちゃんなど数々の番組を担当、BS朝日を経て東映アニメーション社長に就任し現在は顧問……。と、傍流の頂点とでも言う方でしょうか。


すごく大雑把に分けると、日曜洋画劇場編、土曜ワイド劇場編、アニメ編となりますが、いくつか面白いところを拾っていきますと……。

日曜洋画劇場を振り返るところで最初に出てくる映画のタイトルが「妖婆・死棺の呪い」で「何で最初に言及するタイトルがコレなのよ!(笑)」と、カルト映画好きとしては吹きます。
                      
日曜洋画劇場で買い付けをしていた当時、まだまだ日本の力が弱くて外画会社は大作をなかなか売ってくれない。
「史上最大の作戦」「007ゴールドフィンガー」…など、そんな大作をいかにして売ってもらったかという攻防は「これ脅迫でしょ?!」と言うしかなくて笑えます。



また、高橋氏は非常にアイデアマンでして、かつ、何かを始めるときには徹底的に調査をする。と。
上司から「19時台(プライムタイム)の視聴率が悪いから何とかしろ」と言われて調査した結果、「18:30からニュースをやっているが、20分が全国ニュースで残り10分はローカルニュース。そこでガクッと視聴率が落ちて19時台に入ってしまう」ことがわかり、ここで出したアイデアが「毎日18:50からの10分に、高視聴率が見込める帯番組を置いて、そのまま19時台に入れるように導線を作る」という提案。
そこで80あまりの候補から選ばれた番組が、もはや言うまでもないドラえもん。
結果、視聴率はぐんぐん上がり、ドラえもんは国民的な人気番組となりました。

同時に、「子供が混乱するといけないので、打ち切られた日テレ版は封印してもらう」など、心温まる根回しも忘れません(笑)。


ドラえもんの後を継いだ番組が、忍者ハットリくんだったこともあり、藤子A先生とも交流がありましてある時ゴルフコンペでA先生と一緒の組になった時、まぐれ当たりのアイアンショットがなんと旗にぶち当たってバーディを獲得(笑)
         
ここで「著作権侵害だ!(笑)」と叫んだAも最高なのですが、後に「これも何かの縁だから、猿をやってくれないか?」といわれて放送したTVスペシャルがみごと高視聴率を獲得!
こうなると当然レギュラー化という方向になりますが、スポンサーが難色を示します。
ではまたここでどうするか?
「では枠を1時間取りましょう、そこでプロゴルファー猿を30分。前後をF先生の作品で15分ずつ挟んだらどうか?!」
と言う流れであの「藤子不二雄ワイド」が誕生。素晴らしい伝説的エピソードです。


他にも、7年間続き、とんちが切れて視聴率が低迷した一休さんの後番組をどうするか…。
となった時、ここで出てくる番組が「THE かぼちゃワイン」
         
ですとか、「それ、視聴率取れるの?」と上司に挑発され、「視聴率15%を保証します!」と啖呵を切ってはじめた「あさりちゃん」が見事に平均視聴率15.5%を獲得……。
などなど、全編に渡って非常に面白い本です。


やけに標語好きなかたで、その辺がちょっとビジネス書っぽいのですが、それよりもやはりエンターテインメントの歴史証言として非常に面白い本書。
テレ朝エンタメ史ということで、ご興味のある方はぜひ。