2014年8月24日日曜日

「幻肢」 島田荘司×綾辻行人 特別対談に行ってきましたよ 後編

前回の日記の続き。後半戦は出席者一人ずつの質問にお二人が答えていくというもの。
ミステリの間口の問題や、ファンにできること。果てはサウンドノベルやゴジラ・平成ガメラ(笑)に至るまで多岐にわたり1時間半熱く語ってくれました。

こちらの部分も、メモ&覚えている限りの内容を。



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●質問1
質問者:90年代に、ミステリー作家がゲームのシナリオを書くということが結構あったじゃないですか。「かまいたちの夜」とか、綾辻先生の「YAKATA」とか、竹本さんの「月下夢幻譚 TORICO」とか…。島田先生にはそう言う話はなかったのでしょうか?


島田:私は…無かったですねぇ。


綾辻:あれはそもそも我孫子さんが「かまいたちの夜」を出して、彼は純粋にゲーム好きだったんですね。当時、チュンソフトの中村光一さんが何人かに弟切草のサンプルを送って。それに唯一反応した作家が我孫子さんだったんです(会場笑)
                         

質問者:我孫子さんだけだったんですか?!


綾辻:で、「次(のサウンドノベル)はミステリーがいいんじゃないか?」と言うことで我孫子さんは喜んで書いたんですね。それが大当たりしたもんですから、そうするとわらわらと…作家に原作を書かせようという企画があちこちで立ち上がって。
結局、我孫子さん以外はみんなコケたんですけど(会場笑)


質問者:なぜかRPGになっちゃたりしましたもんね(笑)
                    

綾辻:僕はね~。サウンドノベルを書くのは嫌だったんで、「小説は小説で」書きたいから。それならいっそのことRPGで。って言ったのが…運の尽きでした(笑)まあ売り上げはそこそこ…ということで。
だからあれは突発的な。全ての原因は我孫子武丸。(会場笑)

けど彼は大したもので、「かまいたちの夜の我孫子武丸」と言うことで後世にすごい影響を与えているんですよね。それこそいま出てくる若い作家。誰と喋っても「最初は、子供の頃にやった『かまいたち』です」という人が本当に多いんですよね。たいしたものです。


●質問2
質問者:個人的に聞きたいのは、いま公開されている「ゴジラ」をご覧になっていたらご感想を…(会場笑)
あと、お二人のお話の中で「怪獣が出てきて…」というのが(島田:「それはカンガルーですね」)ほかに、怪獣を出そうと思ったことがあったりなんかは…?


綾辻:さっき島田さんがチラッと仰ったのは、怪獣じゃなくてカンガルーが巨大化して京都市内で暴れるのを、私立探偵も巨大化して戦う(会場失笑)。というアイデアを我孫子君が当時言っててそれを島田さんが聞いていて、後に彼はちゃんと発表しております。怪獣じゃないです。
                        
島田さんゴジラはご覧になりました?


島田:私はツイッターにも書きましたけれども、たいへん感動しました。
前のゴジラが、ピョンピョン跳ねるようなもので、最後にマンハッタン島から海に飛び込む時の水しぶきが何か気に入らなかったりと色々ありました。

…もちろん傑作ではあったと思います。マジソンスクエアガーデンに卵が産み付けられた風景には感動しましたしね。でも今回で何が感動したかというと、昭和29年に東宝のスタッフがこういう映画を作りたかったんだろうなぁ。と言う感じがしましたんでね。素晴らしいと思いましたよ。じつは最近ゴジラ映画をDVDでよく観てるんですよ。中尾彬さんと知り合ったものですから(一同「ああ~!」)中尾さんに聞いたら「僕6本も出てる」って(会場笑)。

そう言うのと見比べると、すごいアイデアでありお金を使っているな。と思いました。背びれだけが現れ水煙が立って…。
人を救う神。と言う感じでしたね。


綾辻:感動しました。……(ここで間があったため、会場笑)

よく言われてるみたいですが、ちょっと平成ガメラっぽいノリでね。敵の怪獣の造形もなかなか良くて。牡と牝がいてとあの辺の展開も面白いし、全然何の予備知識も無く観たんだけどゴジラが結局守り神になると。そこも「ああ、平成ガメラだな~」と思いつつ…。ただ、いろんな所で初代ゴジラへのリスペクトがうかがえて、ああ、この監督は本当にゴジラが好きで作ってるんだな。と思いましたね。


島田:アメリカでは、「ゴジラが出てくると拍手が沸く」と言ってる人がいました。もうマイケル・ジャクソンですね(会場笑)


綾辻:あれをハリウッドで作られてしまうと、東宝は今度もう作れないんじゃないか。前のエメリッヒのゴジラの時は「あんなもんトカゲだ」とか言って。ミレニアムシリーズを作ったわけですが、今回は…。


質問者:この次、「日本(のゴジラ)はどうなるんだ」という話は周りでもちょっとありました…。


島田:「ゴジラ2」を作るという発表もあったようですが、今度はキングギドラもモスラも出てくると。


綾辻:ますます東宝の出る幕がない(笑)権利だけで儲けるのかな~…。


島田:この前の「キングコング」の映画がすごく出来が良くて「これはキングコングはもう作られないな」と思いましたけど、今回も「東宝はもう手が出せなくなったんじゃないか」と思いました。

そしてあの、吼えるじゃないですか。あれが感動したな~。ジーンときましたよ僕。炎も長く吐くじゃないですか(綾辻:ああ、あれねー!)あれもこちらの思いとぴったりシンクロしてね。「もっと短くていい」なんていう意見には与しないですね。


綾辻:キングコングのときも、見た直後くらいに島田さんとお会いして「良かったよね~!」なんて話を。「長すぎるなんて声もあるけどそんなことない」って。


島田:全っ然そうは思わない。日本のプロの監督たちが、セントラルパークの凍った池の上のラブシーンを「あれみじけえんだよ、もっと長く映せばいいのに」って言うけど大反対ですね。


綾辻:あの長さですよね!(島田:あれでいいと思う!)何回観てもあのシーンで泣いちゃうんですよね。あれは卑怯ですよね(会場笑)

怪獣は…自分が怪獣ものを書くことはないと思いますけど(笑)島田さんは?


島田:私も、特に予定はないですねぇ。


綾辻:でも宝島社からメールが来てて、宝島が怪獣の読本を出すらしくてメールインタビュー受けることになると思います。


質問者:あ、コラムで平成ガメラについて書かれてましたよね。


綾辻:平成ガメラは、結構イリスが好きなので…。


島田:平成ガメラって、京都の町を火の海にするやつでしたっけ?

綾辻:あ、それが最後の作品です。京都駅で決戦するやつ。


島田:ああ…。大阪の奴が言ってましたけど、大阪の映画館で、あの場面で歓声と拍手が沸いたとかなんとか。「もっと燃せ~!」って。みんな京都人が大嫌いなんですね(会場失笑)


●質問3
質問者:90年代から00年代にかけてミステリの解体と言うかいろんな方向性が出てきてると思うのですが、「今までのものを勉強していないと楽しめない」状況になって、読者が脱落してしまう危惧について何か考えていることがあったら…。


綾辻:間口の問題ですよね。「古今のある名作をある程度押さえていた方がより楽しめる」というのが現代文学だと思うのですが、僕が出た頃まではそれは通用した気がする…自分もほとんど読んでいた感じがするのですが、それ以降は数が増えすぎてしまって全ておさえきることが不可能になってしまって、しかも若い人の入口が僕であったり島田さんであったり西尾維新だったりする。
そこからさらに遡って読むのは確かに…。
もちろん興味のある人は読むでしょうけど、何万人もの読者のことを考えるとなかなか…だから両方大事だとは思うんですよ。だからといって「先鋭化しちゃいけないよ」と間口を広くして薄くしてしまうと、いっときのSFのように「浸透と拡散」のような状況になりかねませんよね。

けれどもあまり先鋭化しすぎて、門前払い的な態度を本格ジャンルが取ると、新しい読者も増えないし後続の作家も出てこない。ということになるので、我々は常にそのバランスを考えなければならない…ということをこの10年くらいずっと考えているんですよね。
両方成り立てば一番いいんですけどね。マニアはそれなりに面白い。よく知らない人も面白い…間口が広い先鋭的なものが書ければ一番いいんですが(会場笑)

それが自分の大目標と言う感じで。でも、「Another」で若い人がミステリじゃなくて学園ホラーみたいなところから入ってきてくれて、本格ミステリに流入してくれていると言う現象もあるみたいなのでそう言うやり方もありかな。と。


島田:よく、「新人の作家を世に出して、ライバルを増やすだけで自分の本が売れなくなるじゃないか」と言う人がいます。損得だけを考えれば一見これは正しいんですが、たとえば秋葉原と言う場所がある。吉祥寺は薬局がひしめいているんですね。

ジャンルはライバルによっても支えられているし、本格の商店街ができればそこにやってくる人の数が多くなり、結果としてに自分の作品も買われていくことがあると思うんです。
ですが確かに、松本清張さんの時代…映画と本とマンガくらいしかない時代でした。今はDVDがありコンピュータのゲームがあり、ネットサーフィンがあり。その上に本やTVのドラマがあり。相手も多くなってますよね。本が買われにくくなっている時代と言うのを踏まえなきゃいけないかもしれない。

「ネットはただで見るもの」という認識が発達していますね。それで綾辻さんたちが盛り上げてくれた講談社ノベルズなんてのもなかなか売れなくなってきているとも聞きます。それはネットに食われているんじゃないか。「じゃあそのぶん電子本を」と言っても、電子本は3%にもなっていないんですね。とても代替にはなっていないわけです。「じゃあどうするんだろう」と、そう言う危ない時期であるも確かです。新人推薦もやらなきゃいけないし。
私は原点に戻って「21世紀本格」というのをもっと考えなきゃいけないと思っています。
「本を売る」なら、映像と連動していかなきゃならないだろうと最近よく考えます。
                        

●質問4
質問者:女性に言われて一番印象に残った、心に響いたセリフがあれば教えていただけますか?(会場笑)


綾辻:ロマンス小説の資質が全くないもんですから……。


島田&綾辻:……(会場笑)


質問者:すいません(笑)


島田&綾辻:……(会場失笑)


島田:うーん、そういうのは…無いですねぇ……。
感動したことって言うのは何かありますか?


綾辻:僕は…感動しっぱなしです。
すいません何も思いつかない(会場笑)


島田:この前、同志社の講演が終わりましてサインをしていたんですが、その時に女性が涙を流したんですね。「とても辛い時に、島田さんの小説を読んで助けられました」って言われてジーンときましたね。
でも「そんなに助けるような小説書いたっけなぁ…?」(会場笑)女性にずいぶん失礼なことを書いてるような気がする…。でも女性に対する敬意は常にあるんですよね。

昨日くらいに言っておいて下さればもっと良い事を(笑)。今はこのくらいしか思いつかないですね


司会:こんなにお困りの島田さんは初めてです(会場笑)



●質問5
質問者:島田先生にとって「変わらないこだわり」というのは何でしょう?。綾辻先生は「犯人当て」だというのは何となく解るんですが…。


島田:私は「本格ミステリは魚に似ている」と思うんです。必ず謎がある、そして解決と言う尻尾がある。そして両者を繋ぐ時間経過として背骨があるんですね。
日本では、本格の姿勢があればみな本格になる。

私の中で変わらないとすれば、その「謎→解決」という魚の論理。
館ものと言う形式を取ろうと、社会派を取ろうと「謎→解決」の魚(本格)のシルエット。この部分は普遍ですね。


●質問6
質問者:先ほど「犬神家の一族」と「砂の器」の話が出ましたが。お二人が映画の中で、純粋にミステリで「これはおすすめ」と言うのがあれば教えていただけますか?


綾辻:じゃあ僕は日本の映画で。天道真さんの「大誘拐」、岡本喜八の晩年の大傑作。
最近だとオリジナル脚本ですが、内田けんじ監督の「アフタースクール」や「キサラギ」。これもオリジナル脚本ですがいい本格。


島田:「スルース」のオリジナルの方。リメイクはそんなにいいと思いませんでした。いまだにこれが一位です。DVDになってないんですよね…。

二位三位はなんだったかな…?
「太陽がいっぱい」綾辻さんもきっとお好きな「最後の一行もの」と言うか、最後の一行で仰天するというか。
マット・デイモン主演で原作に忠実なものが映画化されましたが、やはりアラン・ドロンの方が好きですね。

それから、ニコラス・ケイジが主演した。「マッチスティック・メン」、「交渉人」もいいですねぇ。
あ、二位は「セブン」ですね。それと「ナイトビジター」。これは映画館で公開されたのかなぁ…?
あまりポピュラーになりませんでした。
昔、徹夜で何人か集まった時、綾辻さんにビデオ見せた事ありましたね。


綾辻:あ~、竹本(健治)さんも一緒でしたね。


島田:暗ーい暗い映画なんですけど。あ、ヒッチコックでは「サイコ」が好きですね。


綾辻:「ソウ」の1・2も挙げてませんでした?


島田:あ、挙げてますね。
金庫の中に死体があって、「まあゆっくり座って話そう」と犯人が言う…。あの伏線は痺れましたね。あれは2?


綾辻:2です2です。


島田:1と2は素晴らしかったんですが…でもだんだん良くなくなりましたね。
アメリカ映画って、グロテスクにしないと観てもらえないのかなぁ…?
ロジックの部分で芯があるものに痺れるんですけど。


●質問7
質問者:若手作家に対しての印象をお聞きしたいのですが。


綾辻:米沢穂信さんとは長い付き合いですが、たいへん真面目に取り組んでおられますよね。
僕が注目しているのは詠坂雄二なんですけど、彼はすごく頼もしいですね。
                      
古野君は…(苦笑・会場笑)古野君が人気あるって言うのは良いことなんじゃないですか。
けど、みんな真面目に頑張っている感じがしますね~。
一番好きなのは詠坂です。


島田:私が比較的読んでいるのは、伊坂幸太郎さんですね。
それから…米澤さんとはデビュー当時に挨拶したことがありまして、いい人だな~と思いました。

でも、台湾の島田賞や福ミスの一人選者をやるようになりまして、どんどん新人の作品を読む時間が無くなってしまいました。ですから新人と言うと、福ミス系の人と付き合いが深くなってしまいます。
いい新人いっぱいいますよ。


●質問8
質問者:ミステリのファンの集まりやコンベンションを主催しているのですが、10年やっていると年齢層が高くなったり若い人との断絶などもできてしまい、自分たちでも広めるために何かできないかと模索しています。
先ほどリテラシーの話もありましたが、作家の立場としてファンにご要望があればぜひお聞きして、何らかの形で実践できればと考えています。よろしければお聞かせください。


綾辻:とりあえず…ブックオフで…買わないでほしい……(会場笑)
それが作家の本音…じゃないでしょうか(笑)。図書館で順番待ちしないでほしいとか。


島田:いっとき問題になりましたよね。30冊くらいドーンと図書館が入れちゃうっていう。


綾辻:質問の趣旨からちょっとずれちゃうかもしれませんが、プロの作家は本を買っていただかないと食っていけませんので…、面白いと思ったら口コミで「読んで面白かったから買ってください」って言ってもらうくらいですかね~…。
もしかしたら、今が専業作家と言うものが成り立つ最後の時代なのかしら?
全然悲観はしてないんですけども、小説家と言う職業について考えると。「正業を持って傍らでやった方がいいですよ」という言い方をしています(会場笑)
今はうかつに「会社なんか辞めちゃえよ」って言える状況じゃないですね。
だいぶ話がずれちゃいました(笑)


島田:いまでも大ベストセラー作家いますが、95%が映像と連動してる人ですよね。
2人だけ。村上春樹と東川篤哉さんだけが映像になる前からすごく売れた。謎なんですよ。
                      

村上春樹さんの場合は、ユーミンがFMのDJで薦めた…なんてことがありましたが、東川さんだけがなにもないので、何であんなに売れたんだろうって七不思議ですけど(笑)。
まあ、赤川次郎さんの流れもあったんだろうな…。一説によると東野圭吾と間違えて買ったんじゃないかと(会場失笑)いう話もありますけどそれはないだろうと(笑)。字が読めないってことじゃないか(会場笑)

でもまあそう言うことがあります。映像しか観ない人が増えてるわけだから、本を売るには連動した方がいい。映像の時代であれば接近するしかない。まずは映像化っていうこと。

それと創作の裾野を広げるって言うこともひとつの方法かなって。ですからやっていただきたいことって言うのを考えると、「まず短編を書いてみる」っていうことを勧めてほしいですし、有力な人がいれば私が出かけていってお話しするのは全然苦じゃないですよ。

新人を推薦することに、さかんに否定的な意見もありました。「でもあの時、綾辻さんたちを推薦してなかったら今どうなっていただろう?」と思いますよ。迂遠なようでも、結局後で効いてくるんですよね。種を蒔いておきたい…。そう言う発想を持っていただけたらと思います。



●質問9
質問者:本格が暗黒だった時代、買っても買っても面白くなかったときに島田さんが出て、綾辻さんが出てすごく嬉しかったのを覚えています、感謝しています。
(幻肢の)ファウンディングの最終日にものすごく興奮しまして、ずっとネットサーフィンしながら「もしかしたら300万行くんじゃないか…!」って。(会場:ああ~!!)


綾辻:僕もハラハラしながら見てて「自分が買おうかな」って(笑)


島田:もう全然諦めてたんですよね。1週間前に100万円くらいしか集まってなくて。だからツイッターに「ダメだと思いますがありがとうございました」なんて書いちゃった(笑)


質問者:今後の新作の予定などがあれば教えていただければ…


島田:「幻肢」が今月末に。それと前から温めていた、シャーロック・ホームズのパスティーシュと言うかパロディがもうひとつあるんですよね。これはシャーロッキアンに向けて細かいところまで検証した作り物のおはなしをやってみようと思います。
御手洗の短編も書かなきゃいかんし、それと…鎌倉大仏に関するミステリがありましてね。それをやらにゃいかんかなぁ…と。
                      

綾辻:僕は相変わらずのんびりしてますんで(会場笑)そろそろ充電を終えたかな~って。
マルチタスクができないんですよね。昔のPC88くらいの人間ですんで(笑)
1年間色々やって整理ができたので、秋から「Another 2001」を書きます。

「Another」の3年後の話で、同時多発テロのあたりでクライマックスが来るんじゃないか…という感じです。
いろんな死に方を考えなきゃなぁ~(会場笑)。フィクションの中だからね、いいんですよ(笑)
現実の死は悲しいですし。けど、映画や小説の中だとそれを楽しんでしまえる「人間のしたたかさ」って言うのが僕は好きで。だから書いてるんですけどね。


島田:笠井さんは体調が悪くなったとか言うので心配したんですが、綾辻さんは「これから泳ぐ」とツイートしているからこれは大丈夫だろうと。


綾辻:いや~…、タバコ吸いますからね……。


島田:前はよく「止めた方がいい」と言ってましたがね。
ああそういえばツイッターで「私は島田さんに『タバコをやめろ、そうすれば君はもっとバリバリ書けるようになる』と言われた」って、そこまで言ってないよ(会場笑)


綾辻:言ったよ~!(笑)


島田:そう書いたら、リプライがバーッと20個くらい付いて、「それは島田御大間違っている。タバコを吸うからこその傑作ですよね、ね、ね」みたいなね(会場笑)みんなでタバコ止めさせてなるものかと言う。あれは笑いましたね(笑)


●最後に
司会:最後に、お互いに対する期待など一言いただけますでしょうか?


綾辻:今日は話が広がるかと思って、「星籠の海」を読んできたんですがたいへん興奮しまして。
物語作家として圧倒的に読ませてしまう島田さんの筆力ってなんなんだろう?と思って楽しませていただきました。ありがとうございます、まだまだ読ませてください。
                        
鮎川先生が亡くなった時に島田さんが、「僕は息絶える前の日まで本格を書き続けます」って言って「あの世で頑張ってください」っていう……


島田:私あれから編集者何人かに言いました。「綾辻さんに『葬式の前日まで書く』って聞かれちゃったからなぁ。書かなきゃいけないですね」。


綾辻:ミステリーは大好きなんで、子供の時からここまで骨がらみで付き合ってきたので、死ぬ直前まで考えていけたら幸せだなぁ…って、全然ひとことじゃない(笑)


島田:日本ではなんといっても新本格のシンボルは綾辻さんですから、せいぜいプールで泳いで、タバコの本数減らして、頑張っていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました(会場笑・拍手)
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島田先生が付け加える、ピリッとスパイスの聞いた一言がいちいち面白く、実にあっという間の時間でした。出資した甲斐があったなぁ~…。

映画「幻肢」、9月27日より公開です。今後の島田ワールドを広げるためにもぜひ観にいきましょう!
http://genshi-movie.com/