2013年8月4日日曜日

映画「立候補」 ~負けるとわかっていても戦わなければならない時がある~

いつの間にか、1日1回上映から1日4回の上映になってたので、ポレポレ中野まで映画「立候補」観てきました。
当方の周辺では「そんなにかよ…」と、若干引くほどの絶賛に次ぐ絶賛。


ポスターに書かれた「負ケルトワカッテ、ナゼ戦う」というキャッチコピーをみると…
やはり真っ先にこれが思い浮かんでしまいますね。



さて、「泡沫候補ウォッチング」というのは、オタク界隈では古くから定着していた遊びですが、その中で近年では最もウケたと思われる、外山恒一の政見放送が映画の冒頭でかかります。
劇中の外山インタビューでは、「あれは上手くいきましたね(笑)」「ネットの発達で世の中に何も面白いことが起きなくなった」「みんな消費の対象、すべてをネタ化してしまうだけ」と、実にクレバーな分析をしていたのが印象に残りました。語り口もじつにフツー。



映画は2011年に行われた大阪府知事選(の泡沫候補)を追ったドキュメンタリーでして、
一応の主役格は、東京都知事選でも一服の清涼剤として我々にスマイルを与えてくれたマック赤坂
このマック赤坂さん、東京都知事選の際には、ある人は「熱海の駅前で尾崎豊の歌をうたってるのを見た」とか、またある人は「銀座の駅前でひたすら阪神タイガースのすばらしさを訴えかけていた」など、まるでUMAの目撃情報のごとき有様でしたが、映画を見る限りでは、その前年の大阪府知事選でもやっていることは特に変わりがありません。


とは言え時間が進むにつれ、マック赤坂がどこまでも真剣に選挙活動をしているということに対して、見るものは全く疑いを持たなくなってきます。(真剣にやってアレだということは置いといて)

選挙活動(道端で歌って踊る)の邪魔になるものは駅の警備員、交番警官、公安警察、日本維新の会のSP(プロレスラーのようなガタイ)から、京都大学の女子大生に至るまで公職選挙法を楯に恫喝し撃退していきます。


脇を固める(?)他の泡沫候補も、届出だけで一切の活動をせず家に引きこもってる人や、街頭で「よろしくお願いします」と壊れたテープレコーダーのように繰り返すだけの人。ガンが見つかって無念の不出馬だった羽柴秀吉。
など、みなが真剣なのにもかかわらず、いい味出しすぎているのはこれが大阪という土地だからなのでしょうか…?



クライマックスでは、完全アウェーの状況の中で日本維新の会や自民党の演説に乱入するマック赤坂。
彼に対して周囲の一般大衆から浴びせられるとてつもない罵声(「売国奴!」という罵声には笑いました。なんでやねん)は、まるではぐれ国際軍団が新日本プロレスに乱入したときのようです。

だからといってマック赤坂に感情移入するかというと、特にそんなこともなく、マックに投票することもない(引退しましたが)と断言できるのが、この映画のすばらしいバランス感覚だと言えるのかもしれません…。

とはいえこの映画を観たあとでは、どんな泡沫候補でもすべてが供託金300万円を払って戦いの場に臨んだという一点においてリスペクトしなければいけませんね。自分には出来ないことなので。


まあ、かと言って泡沫候補ウオッチングをやめるわけではありませんけども(笑)


※映画「立候補」公式サイト