2017年2月7日火曜日

「竹本健治『涙香迷宮』ミステリランキング制覇記念トーク」に行ってきました。第二部

前回の日記の続き、「竹本健治『涙香迷宮』ミステリランキング制覇記念トーク」第二部のレポートです。

前回と同じく聞き書きですし当方のバイアスを通してるので、正確な言い回しとかはアレですけど、「だいたいこんな感じのことを話してました」くらいに察していただければ幸いです。
二部は涙香迷宮についての話や、質問コーナーでした。

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・涙香迷宮

千街:「このミス」1位をはじめとして、ランキングで軒並み上位を占めましたがその感想は?

竹本:いやもう…、びっくりと言う以外にありませんでしたけど。そう言うのが巡ってくるもんなんだな~、と。

喜国:僕も綾辻さんと電話で話したけど、「ずっと好きなことをやり続けてると、そう言う日が来るんだね」と。僕的には「ノーベル賞より先にとっちゃったか」(会場笑)と少し残念。
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千街:この中心になるのが「いろは」という言葉遊びですが、いろはに興味を持たれたのは何年くらい前でしょうか?

竹本:Twitterでつぶやき始めたのが6年くらい前ですから…、つぶやきのネタとしてやってみようと思ったのは5年くらい前ですね。

喜国:どれくらい書きました?

竹本:新かな旧かな合わせて250くらいじゃないですかね。
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喜国:こんなこと言っちゃなんだけど、これ「このミス1位だ」と思って買ったフツーのミステリ好きはどう思ったんでしょうね(笑)

竹本:まあねえ…いろんな感想は目にしますけど…(笑)

千街:けっこう竹本さん、Twitterでエゴサーチしてリツイートしてますけど、あれは選んでやってるんですか?

竹本:ええもちろん、評価低いのはリツイートしてない…(会場笑)
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千街:「トランプ殺人事件」の最初にアナグラム俳句がでてきますよね。ああいう言葉のパズルみたいなものは以前からお好きだったんですか?

竹本:匣の中の失楽にも、「影もどきにす」の暗号を作ったりしてるし、「どうも僕ってそういうの得意かも(笑)」とは初期から思ってます。

千街:あれは語彙力がないとなかなか出来ないと思うのですが…

喜国:竹本さんの小説読んで思ったのは、難しい言葉を使う作家さんもいるけど、竹本さんのは知ってる言葉なの、知ってる言葉なのに普通じゃない(笑)。使い方がものすごくカッコイイ。
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竹本:いろはをどんどん作っていって、頭を48一揃い作るのを目標にしようと。
そうやってるうちに、暗号いろはを2つ作って、それを使ってミステリを書けないかな~と思ったのが順序ですね。

千街:暗号を作っててもおかしくない歴史上の人物ということで涙香になったと?

竹本:当然「涙香しかいない」と。

喜国:また「涙香」という名前がいいから、タイトルにピッタリですよね。
後の人が「健治迷宮」にしたらちょっと…(会場笑)

竹本:かっこいいペンネーム作っとくべきだったな~(笑)。匣の中の失楽を書くときに「ペンネームつける?」と島崎さんに聞かれて、ちょっと時間がほしかったんだけど「今決めろ!」みたいな。結局その場で思いつけず本名に、何であんなに急かされたのか…?(会場笑)
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千街:竹本さんの暗号ミステリとしては初期にトランプ殺人事件がありますが、今回とどちらが苦労したかと言うのは?

竹本:苦労!

喜国:覚えてないよ!(小声)

竹本:トランプも先に暗号を作って、そこから物語を作ったので、パズル作りを楽しみながらやって小説にしたと言う、趣味でやってるので苦労したと言うのはないですね。

主催者:今回、連珠を扱っているのでゲーム殺人事件の番外で連珠殺人事件と言う意味もあるんでしょうか?

竹本:涙香を出せばゲーム殺人事件の延長としてできるな、と言うのはありましたね。だから一番最後に「アレ」を作ったんですけどさすがに完成はできず…
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千街:牧場智久シリーズの集大成という意識は?

竹本:べつに集大成と言うのはなかったですけど…

千街:これはお聞きしていいことなのかどうか、「定本ゲーム殺人事件」の後書きで「智久をまた出すとすれば智久が殺される話」っていうのは…?

竹本:あー、そういうこともありましたっけ~…

千街:あれはどういう事だったんでしょう?(笑)

竹本:どういう事だったんでしょう?(会場笑)
まあ、そう言う話を書くかもしれませんし~、いろんな可能性があります。
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・質問コーナー
質問1
質問:佐伯千尋のシリーズは、今度の短編集に入るんでしょうか?

竹本:一応、今度の短編集にも一つ入ってます。今後も気が向いたら書くでしょう。

千街:今度の短編集は、佐伯千尋ありトリック芸者あり、キララありと。(会場拍手)


質問2
質問:竹本さんが以前ゲームに関わられた時に、印象に残ったことなどあればお伺いしたいのですが?

竹本:ゲーム??

喜国:事象から覚えてないようです(会場笑)

質問:セガサターンの「月花霧幻譚」やPSPの「トリック×ロジック」等ありましたけど…。

竹本:え~…、え~……(会場笑)

質問:無い。ということでよろしいでしょうか?(笑)

竹本:あった…はずなんですけどね(会場笑)

千街:トリック×ロジックに関しては、その話も今度の短編集に収録されます。

竹本:一応、トリック×ロジックに書いたやつ、あれはゲームを作った時点では解決を書かずに「こういう解決です」と言うのを箇条書きで書いて「あとはよろしくお願いします」と言う感じで渡したんですよね。なのでトリック×ロジックに書いた2本は新たに解決編を書き下ろして、それを収録しました。
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・今後の予定
竹本:ゲームシリーズの囲碁、将棋、トランプが2月、3月、4月に出ます。
囲碁には前に載った「チェス殺人事件」が付きます。将棋には書き下ろしで「オセロ殺人事件」が付きます、トランプ殺人事件には「麻雀殺人事件」が付きます。

短編集、「しあわせな死の桜」が3月に出ます、それから「かくも水深き不在」の文庫が新潮文庫で4月刊…。

喜国:こんなに出たことあります?!ないよね??

竹本:あ、あと「闇に用いる力学」はあと3回くらいで終わります(会場笑)

喜国:絶対あれ3回で終わらない!!

千街:そう思います(笑)
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以上、とても楽しいトークイベントでした。次はまた4年後でしょうか?

それにしてもまさか、4月までに竹本さんの本が5冊も出るとは一体誰が予想したことでしょう…?!
短編集はとても楽しみですが、書下ろしを読むためにまた「将棋」と「トランプ」を買わなくてはならないとは…何回買わせる気だ!(笑)

そして2017年2月現在、「トランプ殺人事件」というタイトルは大変に人目を引きつける力があるので、本屋さんは目立つところへ大量に積むといいと思います。